介護が辛いと思ったら
私が勤めている施設ではフロアの清掃を委託業者さんが行ってくれているのですが、
少し前に新しいおばちゃんスタッフさんが配属されて来ました。
挨拶がてら少し会話をしたのですが実際の介護現場に少し驚いたようで、
新スタッフさん「ここは何だかすごいところですね。イメージと全然違う」
私「まぁここは認知症専門棟なので他階の利用者さんとは雰囲気違うかもですね」
新スタッフさん「あぁ。だから話しかけても返事をしてくれなかったんだ」
私「そうですねー。言葉を認知できない方も多いので」
新スタッフさん「職員さんたちすごいですね。神様みたい。 お世話するの毎日大変でしょう」
私「まぁ毎日にぎやかではありますね」
みたいな感じの話をしました。
接する機会が少ない方にとって認知症の方を介護するは「大変」というイメージが強いんだなぁと感じました。
確かに認知症になった家族を在宅で毎日24時間お世話するのは相当大変だと思います。
ただ、家でお年寄りの介護を行なっている方に知っておいていただきたいのですが施設の職員として認知症の方をケアするのけして難易度の高いものではありません。
それは、介護士や看護師は介護に対する知識や経験を持っていることや施設も高齢者が過ごしやすい造りになっていることももちろんありますが、
介護でなにより重要な『心の余裕』を持ちやすい環境にいれるからです。
例えば、
利用者さんの介護拒否があって辛くても他の職員と連携して対応できる。
利用者さんから暴言を吐かれて落ち込んでも仕事の時間が終われば介護からきり離れた日常に戻れる。
あまりにも理不尽であれば、介護からいつでも離れられる。介護をするか、しないかを自分で選択できる状況にある。
すごく身の蓋もない言葉ではありますが、職員にとって介護は『他人事』なのです。
しかしそれは介護を携わる上でとても大事な考え方だと私は考えています。
介護を自分事として行うのはあまりにも過酷です。
どんなに優れたケアをしても現状維持すらままならない。
自分の時間をどれだけ費やしたとしても、大切な人を失うという未来が必ず待ち受けている。
そんな現実に心が折れてしまっても何ら不思議はありません。
そうならないための介護施設です。
介護に疲れた方は、「デイサービス」「ショートステイ」「施設入所」
をぜひ活用して自分事になりすぎないようご自身の人生も大事にして欲しいなと思います。
※※※
介護士まめ知識
〜利用者さんのトイレ訴えが頻回の対処法〜
介護施設では定時に利用者さんをトイレに誘導しているのですが、排泄介助が必要な方で30分に1回くらいの割合で「トイレに行きたい」と訴える方もいたりします。
ですが、職員の人数もカツカツで動いているのですぐに対応できないケースが発生します。
そんな時は、
「今、トイレの清掃中なので終わったら行きましょう」
「すみません。 トイレ故障していて業者が修理中なので、もう少しだけお待ちください」
「みなさんを順番でお連れしているので、番が来ましたらお声かけしますね」
などの声かけをして間を持っていてもらいます。
新聞や雑誌を渡して気を紛らわすのも有効な手です。
なぜすぐに対応しないのかちゃんと理由もあります。
ただ「忙しい」からではありませんよ。
トイレを連れて行かないのはNGですが、頻繁に連れていくのも良いケアではないのです。
排尿の間隔が短いと膀胱の機能が低下して頻尿がさらに悪化する可能性が高いからです。
排泄を行なってから数秒後に再び「トイレに行きたい」を延々と繰り返す方もいます。
それでは他の利用者さんのお世話、仕事ができなくなってしまいます。
なので利用者の身体機能維持、職員の負荷軽減のためにも間隔を開けるのも大事なのです。